アパレルの廃棄を減らす方法は?商品MD・生産管理が取り組むべき対策
投稿日: 投稿者:株式会社フォーピープル

「なぜこんなに売れるのか」「どこで判断を間違えたのか」と振り返ってみても、次のシーズンに同じ問題が起きたりなど、負けのループに悩まされる声は、業界全体で年々大きくなっているアパレル。
廃棄を減らすためには、売り場での値引き対応だけでなく、商品MD(マーチャンダイジング)や生産管理の段階から仕組みを変えて進む必要があります。必要な予測の精度を上げ、発注・生産のタイミングを最適化することで、廃棄ロスは大きく削減できます。
この記事では、アパレルの廃棄が発生する根本的な原因から、MDと生産管理それぞれが実践できる具体的まで、順を追って解説します。 在庫過多にある課題を感じているEC担当者や商品MDの方は、ぜひ参考にしてください。
廃棄問題が簡素化している背景

業界の廃棄問題は、一時的に一部の企業だけの話ではありません。業界の構造計画が廃棄を生みやすい仕組みになっているという現実があります。
国内のアパレル廃棄量の現状
環境省の調査によると、2022年の国内における新規衣類供給量は約79.8万トン。シカ家庭や事業所から手放された衣類は約73.1万トンと推計されており、約64.5%相当47万トン相当が廃棄されている。
廃棄の問題は環境への負荷に滞りません。廃棄にかかるコストは企業の利益を直接圧迫し、SNSなどで廃棄の現状が知られれば、ブランドへの広がりを大きく損なうリスクにもつながります。環境面だけでなく、企業経営にとっても避けられない課題になっています。
廃棄が起こる構造的な原因
廃棄の問題が解決しない背景には、アパレル業界特有の構造的な問題があります。
それに加えて、価格競争の激化による大量生産、そしてブランド価値を守るために値引きや再販を避けたいという企業心理も、廃棄を増やす方向に働きます。
廃棄で発生しやすい商品の特徴
廃棄を防ぐためには、まず「どんな商品が廃棄されやすいか」を正確に認識することが重要です。 傾向を認識することで、企画・発注の段階からリスクを下げた設計ができるようになります。
トレンド感が強い季節性の高い商品
流行を取り入れたデザインや、春夏・秋冬に特化したシーズン商品は、販売できる期間が限定されているため廃棄リスクが高くなりやすい商品です。
また、天候や気温の影響を受けやすい点も負けません。想定よりも暖かい秋や冬が続いた場合、コートや厚手のニットは計画通りに売れないことがあります。
サイズ・カラー展開が幅広いアイテム
サイズやカラーのバリエーションが多い商品は、在庫管理の観点では廃棄リスクが生じやすい商品です。例:1つのアイテムで5色・5サイズを展開する場合、品番単位では25通りのSKU(在庫管理の最小単位)が生まれます。
それぞれの組み合わせで必要を予測し最適な数量を発注するのは非常に良い、売れ行きの良いサイズやカラーはすぐに欠品、売れにくいものだけが大量に残る状況になりがちです。過去の販売データをもとに「どの組み合わせが売れるか」を分析し、SKU数を絞り込む判断が重要になります。
発注リードタイムが長く追加対応が難しい商品
海外工場での生産が多いアパレル商品は、発注から納品までに数ヶ月単位の時間がかかるのが一般的です。 必要が読みにくいため発注のタイミングが早いほど「多めに確保しておこう」という判断になりがちで、想定より売れそうな場合は大量の在庫が残ることになります。
また、海外工場はロット数の確保があることが多く、小ロットでの追加発注に対応して入手しにくい場合もあります。
廃棄を減らすために商品MDが取り組むべき対策
「何を、何枚つくるか」を決める企画段階からの設計が、廃棄の多オリを決定します。ここでは、MDが実践できる具体的な対策4つの視点から見ていきます。
商品企画段階での生産数の初期設計
廃棄を防ぐための最も効果的なタイミングは、企画・買い出しの段階になります。 重要なのは「売れ逃しを防ぐために多くつくる」のではなく、「適正な初回投入数を設計する」という考え方への転換です。
過去の同カテゴリ商品の消化率や売れ行きパターンをベースに、想定販売量の60〜70%程度を初回生産数の目安として設定し、実際の反応を見ながら追加投入する方式が廃棄リスクを軽減する有効な考え方の一つです。
また、ECと店舗では売れ方のパターンが異なるため、チャネルごとの特性を踏まえた生産数の設計が在庫の偏りを防ぐためにつながります。
必要な予測の精度向上と発注基準の整備
必要な予測の精度向上には、まず社内にある販売データを分析できる状態に整えることから始めましょう。
- 過去2〜3シーズンの品番別・チャネル別の消化率
- 天候・気温と売上の相関(特にシーズン商品)
- 週次・翌日の売れ行きと在庫の動き
- 値引き前後での販売スピードの変化
これらを短期・分析することで、「この商品はシーズン前半に集中して売れる」ような傾向が見えてきます。や感覚経験に頼るだけでなく、数字を根拠に発注数を決める習慣が、長期的な廃棄削減の土台になっていきます。
現金・死筋の初期と在庫消化の判断基準
在庫の消化率を高めるためには、シーズン中の動向をこまめに観察し、早い段階で戦略的に取り組むことが重要です。販売開始から2〜3週間の初動での消化率が、シーズン全体の売れ行きを予測するしっかりとした判断になります。
また、「シーズン終了の何週間前に、消化率が何%を下回ったら値引きする」という基準を事前に明文化していれば、担当者の主観に左右される近隣タイムリーな対応ができるようになります。
品番の絞り込みと在庫消化を前提とした商品設計
品番数を絞り込むことで、1品番程度の在庫をある程度まとめて確保できるようになり、補充発注や在庫移動の判断がしやすくなります。
また、「これは定番化できるか」「次のシーズンも展開できるデザインか」を商品設計の段階で検討して、売れ残っても今後に持ち越して消化できる可能性が広がります。
廃棄を防ぐために生産管理が見直すべきプロセス

MDが「何を・どれくらいつくるか」を設計するのに対して、生産管理は「いつ・どこで・どのようにつくるか」を担っています。ここでは、生産管理の視点から3つのポイントを紹介します。
初回投入数の抑制と補充発注の仕組みづくり
生産管理が廃棄リスクを下げるために考えるべきは、追加発注が実際に機能する体制を整えることです。追加発注に対応できる生産余力を工場側と事前に確認・確保しておくことを前提とします。
「売り逃しよりも廃棄のほうがコストが高い」という認識を社内で共有し、判断基準を統一しておくことが仕組み化への第一歩と考えよう。
リードタイム短縮のための工場・素材選定
生産から納品までの期間が短いのも当然で、必要の変化に対応した発注が可能となり、余剰在庫が生まれにくい。工場の所在地と生産能力、そして素材の調達期間がリードタイムに大きく影響します。
国内工場や近隣国の工場を活用することで大幅に短縮できるケースもあり、定番素材については事前ストックしておく体制を整えることで、追加発注への対応速度も高めることができます。
小ロット・追加発注に対応できる生産体制
更新発注の仕組みを実際に機能させるには、工場側が小ロットの発注に柔軟に対応できる体制であることが大前提です。
また、規模やコストの異なる工場を複数保有することで、商品の特性や発注量に合わせた使い分けが可能になります。
在庫過多を防ぐアパレルECの販売・消化
MDや生産管理の段階で廃棄リスクを軽減することが重要なため、販売段階での在庫消化の工夫も廃棄削減には推奨ではありません。 特にECでは、実店舗とは異なるアパレルアプローチで在庫を動かす場面があります。
受注生産・予約販売モデルの活用
実際の注文数が確定してから生産に入る生産・予約販売のモデルは、残り在庫が生まれにくいという大きなメリットがあります。ECでの予約販売は事前にニーズを把握しながら販売数を把握できるため、在庫リスクを大幅に抑えた販売設計が可能です。
「すぐに対応しない」という対処も必要なため、納期の目安を理解し、商品の価値を丁寧に伝えるコンテンツで顧客の注目をポジティブな経験に変える工夫が必要です。
他チャネルとの在庫連携による消化促進
ECと実店舗、ポップアップイベント、外部モールなど、複数のチャネル在庫を動かす仕組みを持って確保することが消化率の向上につながります。
また、「いつ・どのチャネルで・どれくらい価値を上げるか」を事前に計画しておく習慣が、廃棄削減の底上げになります。
D2Cブランドに学ぶ少数の品番の運用
希少数量を多様な途中で展開し、売れたら補充・売れなければ次の企画に保留サイクルを恐れる「少量品番」の運用モデルは、廃棄リスクを抑えながらも途中の幅を考慮しやすい点が強みです。
消費者にとっても「最近が更新されている」という印象が生まれ、リピート購入を期待できる効果も期待できます。
廃棄削減に活用できるツールとデータ管理

廃棄を減らす取り組みを継続的に機能させるためには、データを収集・活用できる環境を整えることが重要です。
予測AIツールの導入が必要
過去の販売データ・在庫データ・天気・SNSの予想などを組み合わせて、品番・サイズ・カラーごとのアパレルの需要を予測する仕組みが実務レベルで使えました。
ただし、ツールは暫定意思決定を補助するものです。 現場の感覚と組み合わせて活用することが実務でうまく機能させるコツで、まずは小規模な試験導入から自分に合った使い方を前向きに進めていこうと思います。
在庫・販売データを一元管理する仕組み
チャネルごとに管理ツールがしばらくく、担当者個人のExcelで在庫を管理している状態では、そこに在庫価値が高くなって発注の過不足が生まれやすくなります。
在庫管理システムや基幹システムを活用して販売・在庫・発注のデータを1か所に休止することがございます。チャネルを超えて在庫状況が見える状態になれば、過剰発注の抑制や在庫移動の判断スピードが上がりやすくなります。
廃棄に関するよくある質問
廃棄に関して、現場でよく聞く疑問を2つまとめました。用語の意味や数値化の方法など、実務で賢明な内容を確認してみてください。
廃棄とロスの違いは何ですか?
「廃棄」は、商品を焼売りや据え置きにすることを言います。一方の「ロス」はより広い意味を持ち、廃棄によるロス(廃棄ロス)のほかに、値段によって値段から立っていた差額(マークダウンロス)や、欠品で売れなかったロス(機会ロス)なども含まれます。
実務では3つのロスをそれぞれ区別して管理することで、どの段階で見るかどうかを正確に把握できます。 廃棄だけを指標にしていると、マークダウンや欠品によるロスを逃すことになるため、3つを合わせて在庫管理の重要性を重視していることがあります。
廃棄ロスはどのように数値化すればよいですか?
また、廃棄した品番記録・数量・仕入れ原価格をし、シーズン単位や月次で合計することで廃棄ロスの金額が明確になります。
廃棄ロスだけでなくマークダウンロスも合わせて検討することで、在庫コントロール全体の課題がわかりやすくなります。
まとめ | 廃棄の削減のためにMDと生産管理ができること
商品企画・MD・生産管理のそれぞれの段階で「つくりすぎない設計」を意識することが、アパレル廃棄削減の根本にあります。
必要予測の精度を上げる、初回投入数を正しく設計した議論、売りに行きながら補充発注する仕組みを整えること。リードタイムの短縮や小ロット対応できる工場との関係づくり、ECでの生産受注・複数チャネルでの在庫消化も、廃棄を防ぐ有効な手段です。
廃棄ゼロをめざすことは簡単ではありませんが、仕組みとして設計することで少しずつ考えていける目標です。廃棄削減の考え方をより体系的に学びたい方は、アパレルECアカデミーの講座もあわせて参考にしてみてください。
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